チリチリと何かが焦げてゆくような音が聞こえる。
君を待つ時間。
嫌な想像。
見えないもどかしさ。
わからない怖さ。
心が焦げているのを感じる。
幼いころに影に見た怪物
実際には何もいないのに
子供の僕には確かにそこにいるのを感じられた
あの感覚ににている
大人になった僕には怪物はいないとわかっているのに
それでも、僕の心はジリジリと焦げてゆく
君の前では殆ど吸わないタバコは
半分ほど吸っては消し、また取り出して繰り返す。
灰皿には白い部分が残った吸い殻が溜まってゆく。
焦げ臭さはタバコのものだろうか?
遠くに見えた君の姿。
心は低い温度で焼かれる責め苦から解放された。
でもまだ、焼かれた部分がヒリヒリしている。
遠くで手を振る君。
その笑顔が眩しくて、手を振り返したくなる。
笑顔がうつってしまいそうだ。
でも、ムスッとした表情を保つ。
心配してくれる君が好きだから。
近づいてくる君が心の痛みを癒してゆく。
僕の心の怪物はひっそりと断末魔さえ上げずに消えてゆく。
~End~
待ち合わせのとき、喫煙者の僕は大抵タバコを吸っています。
気が短いのか、待たされるのがすごく苦手で、いつも過剰に心配しちゃう。
で、こんな感じで心がジリジリとしてしまうことがあるのだけど、「焦げ臭いなぁ?」と思っていたら、本当に自分の髪の毛が燃えていたときがあった。
嫉妬の炎で髪の毛さえ燃やすおっさん。
そろそろ髪切りに行かなきゃ。