今の世の中をどう描写して良いものやら?
人が、人類が記録というものを残してからと言うもの、世界は多分歪められて来たと思うのだ。
記憶にあるかな?
昨年、宇都宮で爆発物使って自殺した元自衛官の話。
報道では、写真って流れたかな?
自衛官って言葉から、多くの人は筋骨隆々としていた面影のある凛々しい爺さんを思い浮かべるかもしれないけど、実は違う。実に福々しい丸顔の爺様だった。もう80になろうと言ううちの親父殿よりもよほど老けて見えた。
ひょんなきっかけから彼のサイトを知ることとなり、閲覧って程にもしっかりも見てはいないのだけど、なんて言うか、悲しくなった。
真面目に自衛官を勤め上げた人がさ、その最後に爆死しなければいけない程に追い詰められてるってのはさ、なんかやるせない。
彼個人の問題だと言ってしまえれば、きっと楽なんだろうけどね、彼のページには書いてあったさ、災難は忘れた頃にやって来る。
彼の言葉の奥には、彼の娘さんの事があったのだろうけど、一般化してもいい言葉だし、僕らはこの言葉を一般化して使うよね。そう、災難としか言い様のないことは、必ず忘れた頃にやって来る。
当たり前なんだよ。僕らは不可逆な時間を生きていると思い込んでいる。だから今起きてるあらゆる事に原因があるし、理由がある。きっとそう教えてもらったんだ。だから身に覚えの無い辛い状況は、忘れた頃にしかやってこない。
でもさ、きっと違うんだよね。
意味もなく、路肩に転がる石ほどの理由や来歴も無くいろんな事がやって来る。それもそれで当たり前で、僕らは他人を気遣って空腹でも高楊枝をくゆらせる事はできても、空腹そのものを発生させないって事はできない。そりゃ感じてしまうことだからね。
要するにそ感覚に対する評価しか僕らは鍛えられないのだ。
彼の主張は、きっとどれもまっとうなものだろう。でもさ、僕らはそう思わないんだ。そう、思いたくないんだ。でなけりゃ、もっと多くの人がさ爆死してるよ。
人を傷つける勇気もなく、静かに消え行く覚悟もできず。中途半端に派手に散った彼を、僕は、せめて僕は覚えていようと思うんだ。彼の、彼だけの正論と共に。