小学五年生の女の子。
少しおませで、母親からも
「この子『男好きで』・・・」なんて言われてた。
話し方も、自分が子供である事を知り尽くして、大人にどう話したら可愛がってもらえるかわかってやっている感じ。演技っぽい子供っぽさとでも言うべきか?
「あざとい」
たぶんこの言葉がピッタリ。
でも、できたら僕はこの言葉を子供に使いたくない。
その言葉が使われる子供はきっと悲しい子供だから。
そうしないと必要な愛を得られないから。愛されていないわけじゃない。ただ足りないんだ。この子もそうなんだろう。
今日、もう昨日か。
授業が終わり、学校の宿題をやっていたとき、珍しくその場で携帯で話始めた。
いつもは、トイレに逃げ込んで話しているのに。
相手はお母さんかな?
ちょっと怒ったような声で話している。
内容は、どうやら「家にいる」と聞いてたのに、お母さんが家におらず、それに対して怒っているようだった。
周りを気遣って抑えてた声がどんどん大きくなる。
そして、泣いているような話し方になった。
演技かな?と思った。
でも泣いていた。
大粒の涙が、零れた。
西側の窓を背に、キラリと光った。
そんなことで?と思ったけど。寂しかったんだね。
ごめんね、気づいてあげられなくて。
子供が涙を流すとき
その涙には目的はなくて、ただただ流れる
僕はできたらそんな涙を見たくない
でもきっと、子供は涙を流して大人になる
流した涙に何かを期待するようになったとき
子供は子供でいられない
それはそれで、なぜか悲しいかな?