いろんな人が乗っている。
僕には彼らがどんな人生を送っているのかわからない。
たかだか、10分かそこら同じ空間に居合わせただけの関係だから当然だ。
でも想像してしまう。
その服装から、その持ち物から。
「この人は、いい生地のスーツ着てるし、シャドーストライプ。カラーシャツにテカテカの靴。短く刈り込んだ髪。ノートPCが入っているらしいバック。ITコンサルかな?」
なんてね。
それが当たってるかなんてわからない。
確認しようとも思わない。
でも無意識にそうしちゃってる。
目的もなく。
怖いのかもしれない。
そばにいるその人がどんな人かわからない状況が。
だから僕はその人が付けてるラベルを読み取ってしまう。
一度読み取ってしまえば、その人は僕にとってラベルそのものになる。
そして、僕が電車を降りるとそのラベルはリフレッシュされて、忘れ去られる。
僕らはもしかしたら人ではなくラベルの中で生きているのかもしれない。
ラベルは綺麗で、無臭。
怖くもなければ、痛くもない。
でも僕にはつまらない。
だから僕は自分からラベルをはがしたいのかな。